【巷でいう「筋膜」について】
巷で「筋膜リリース」だとか、「筋膜」という言葉をよく聞く様になってけっこう経ちましたね。
ここで「筋膜」というモノに関してお話していこうと思います。
まず「筋膜」とは、その名からもざっくり言いますと「筋肉を覆っている膜」です。
そして解剖学を勉強し始めの時は「筋膜とは筋肉一つ一つを覆っている膜であり、各筋肉を区分けする物である」と勉強するんです。
実際そうですし、一般の方のイメージはテレビの情報からも以下のこんな感じではないかと思います。
鶏肉の薄皮ですね。
こんな薄い膜ってイメージだと思います。
この膜が全身に存在して全身タイツの様に覆っているんだと。
そして、その膜がぴったり張り付いたり、よれて硬くなっている所を剥がす、それが「筋膜リリース」ってのが大方の見解だと思います。
この見方は実は当たらずも遠からずという感じなんです。
ネッター解剖学アトラスからですが、さっき見た鶏肉の薄皮はこのイラストでうっすら白く表現してあるものです。
でもこのイラストを見ると皮膚を取り除くと黄色い脂肪組織も全身にあることがわかります。
そしてこの脂肪組織も含めた物をFascia(筋膜)と表現されてます。
つまりあの薄皮は筋膜の一部でしかないという事です。
そして黄色い脂肪組織はけっこう厚めの強い組織なんです。
こんなのが全身にあるので、かなり関節可動域に影響があるだろうなと推察できると思います。
手術後などに組織間の癒着が起こって、それをまた剥がすのならばリリースという言葉でしっくりくるのですが、ローラーでぐりぐりするとかでは剥がすというとちょっと違和感があります。
全身タイツで表現もしてましたが、ズボンを思いっきりセンターをずらして左右どちらかに回したままにしたらすごく違和感があるかと思います。
そして動きづらいですよね?
Tシャツやトレーナーをセンターずらして着てても同じく違和感があるはず。
中身の体もそのズレに影響を受けて動くことになるわけです。
となると当然癖という形で動きの偏りが出ます。
それが痛みのも繋がるんですね。
そのズレに対して方向性を戻していくのにスキンストレッチはかなり効果を発揮します。
ただヨレをなくすとかほぐれるとかではなく、方向性を正す。
コントロールするという感じです。
指導されたトレーニングがなかなかできないなぁとか、その体勢はなんとなくキツいですって方には試してもらいたいです。
癖つけされた動きをいい方向にコントロールできるから。
スキンストレッチの話しになってしまいましたが、ファシアFasciaが筋膜と和訳されてしまった事から少し誤解が生じて、筋肉を覆ってる薄い膜のことだけをイメージしがちだったと思いますが、脂肪組織も含めたけっこう強くて硬い組織なんだと、そしてそれが全身にあるんだとイメージしていただければなと思います。
この差はけっこう大きいんですよね~。